失敗したとき、怒られたとき、何かうまくいかなかったときは気分が落ち込んでしまいます。
そんなときの励ましとしてよくあるのが「気にしないで」とか「落ち込まないで」とか、いわゆるドンマイ的なもの。起こったことは仕方ない。これからまた頑張ろう。」のように前向きになるための言葉をかけがちです。
私も自分が落ち込んだときは、ネガティブ時間を減らそうと好きなものを食べたり趣味に没頭したり気分転換を積極的にします。
しかしそれでは、自分の感情を置き去りにしていることになります。
実感したのは、大切な人が私と同じような原因で落ち込んでいた時。元気を出してほしい、という一心で励ましの言葉をかけ続けてしまいました。子育てを通して「相手の気持ちに寄り添う(共感する)」ことが大事だということは頭では分かっていました。しかし、いざ落ち込んでいる人を目の前にすると、条件反射的に励ましてしまいます。同じような人もいるかもしれません。
でもこれは完全なるエゴです。「いつものあなたに戻ってほしい」「いつもの私に戻りたい」という不安定状態からの軌道修正。脳の防衛本能。エゴイズム。
落ち込んでいるその時の感情に寄り添えていないのです。
本当に必要なのは、『今、ここにある自分の感情を認識すること。』
これがちまたで噂のマインドフルネスです。
落ち込んじゃだめだと思うのは、落ち込んでいる自分を否定しているに等しいです。本当の意味での心の整理は、しっかり落ち込んでネガティブな感情を受け止めた先にあるのです。
マインドフルネス状態になる方法はひとつ。
『今の自分の状態や感情に注目する。』
仕事で上司から厳しく注意されて落ち込んだときを例にしてみます。
「口調怖かったな。」
「頑張ったんだけど認められなくて悲しかったな。」
「泣いてしまって恥ずかしかったな。」
「あの言い方むかつくな。」
「脇汗かいてるな。」
「甘いもの食べたいな。」
その際、その自分の感情を「判断」してはいけません。ただただ、感情を見つけるだけ。
瞑想という形で実践している人もいるかと思います。
十分に感情を見つけたころには、気分は落ち着き、既に自分を客観的に見ることができている状態になっています。客観的に見れたら、本当にすべきことが明確になります。フラットな判断をくだせるのです。
人はつい感情を言葉で塗り固めて、結果的に歪めた発信をしてしまうことがあるので、理論武装しがちな人には超有効だと思います。
伝え方に応用
人に自分の思いを伝えるときは、自分を主語にした素直な気持ちを伝えた方が良いです。
例えば、相手に嫌なことをされたとします。「なんで〇〇したの。」というのではなく「〇〇されると悲しい。」とまずは自分の感情をシンプルに伝えるのです。これからどうするかはその後です。
仕事では結論とか目的を最初に伝えると良い、と言われてますよね。それは一番重要ポイントだからだと思います。仕事抜きにした人間関係においては、お互いの感情が一番大事でしょう。
これに関しては、おしらさんの記事が参考になります。
怒りの感情にも有効
イライラしたとき、口論になりそうなとき、そんなときはだいたい冷静さを欠いています。頭に血が上って視野が狭くなっています。いったん立ち止まってマインドフルネス状態になりたいですが、なかなか当事者であるうちは気付けないです。
そこは、相手を責めてしまったと後悔したときでも良いと思います。
まずは起こったことに対してそのまま捉えます。
「ああ、言い過ぎてしまった。」
「どうしてあんなことを言ってしまったんだろう。」
「ちゃんと連絡してほしい理由を伝えたかったんだ。」
そこから自分の感情を見つけてあげます。
「どうして連絡してほしいんだろう。」
「連絡がないと不安だからだ。」
「私は不安だったんだ。」
自分がどういう感情だったかまでいけたら、それが本心。次に相手へ伝える言葉にその本心を混ぜる。
「連絡がないと不安だから、要所で連絡してほしい。」
これで素直への一歩となります。
人との衝突が起こってしまった後でも、このように自分を見つめ直して感情を整理できるので有効だと思います。
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落ち込むというのは、ぐずぐずしているとか立ち止まっているとか、否定的なイメージが多いです。しかし、気持ちの整理のためには欠かせない過程です。
前向きな行動に移るのは、いったん全ての状況や感情を受け入れ、感情の沼に落ち込んだ後です。この過程をはしょってしまうと、知らず知らずのうちに共感力が落ち、心が麻痺して、自分の感情に気付けず何かとひねくれた人になってしまいます。
自分の感情を無視せず丁寧に向き合うことで、他人の感情も大切にすることができるのです。
ではまた。ばいびー。